■尿路結石とは
腎臓で作られた尿は腎盂に集まり、尿管という管を通って膀胱に蓄えられ、尿道を経て体から排泄されます。これらの尿の通り道を尿路といい、尿のなかに含まれているカルシウムやシュウ酸、リン酸などが蛋白質などと結合し固まったものを尿路結石といいます。また結石はその場所によって腎結石、尿管結石、膀胱結石と呼び名が変わります。
尿路結石の主な症状は痛みと血尿です。結石は通常腎臓でできますが、腎臓に留まっている間は痛みはなく、結石が尿管に詰まったり、結石が動く時に痛みます。痛みは結石のある方の側腹部に起こり、痛みがひどい時には動悸、息切れ、冷や汗、吐き気を伴うこともあります。
結石が尿管に詰まると尿がせき止められ、腎臓に尿がたまってしまう状態、いわゆる水腎症となり、結石のあるほうの背中が痛みます。水腎症が長い間続くと腎臓がだめになってしまうこともあります。 血尿は目で見てわかるほど真っ赤な尿が出る場合と、顕微鏡で見てはじめてわかる場合があります。
尿路結石は決してまれな病気ではなく、食生活の欧米化に伴いその発生率は増加しており、日本人男性の11人に1人、女性では26人に1人が一生の間に一度はかかる計算になります。また尿路結石は再発しやすい病気で、食事療法を行なわなかった場合には、5年間で30〜40%の人に再発するといわれています。
■尿路結石の治療
尿管につまった結石の約60%は尿と一緒に自然に排出されます。1cmくらいまでの小さい結石は自然にでる可能性が高いので、尿管を拡げて結石の下降を促す薬を処方します。よく「結石を溶かす薬」を希望される患者さんがおられますが、残念ながら一部の成分を除き、「結石を溶かす薬」はありません。結石が出やすくなるよう水分を多く摂り(2000mlが目標)、痛いときは痛み止めを使い排石を待ちます。痛みさえなければ仕事や家事もいつもどおり可能です。なかなか自然に降りない場合や、痛みなどの症状を繰り返す場合には治療が必要になります。以前はおなかを切って結石を取り出す手術が行われていましたが、最近ではおなかを切らずに体外衝撃波結石破砕術や尿道から内視鏡をいれて結石を砕く手術が広く行われています。
■体外衝撃波結石破砕術(ESWL)
レントゲンやエコーで結石の場所を確認し、からだの外で発生させた衝撃波(しょうげきは)を結石にむかって照射して、その強力なエネルギーによって結石を砂粒状に砕く方法です。細かく砕かれた結石は尿とともに自然に排出されます。今では尿路結石のもっとも一般的な治療方法になっています。
衝撃波は結石を砕くだけでからだの他の部分にはほとんど影響がありませんが、治療中は軽い痛みを伴うため、治療の際は痛み止めを使用します。砕石後は一時的に血尿、発熱などが認められることがありますが、鎮痛解熱剤や抗生剤の点滴で治りますので、外来や短期間の入院で治療が可能です。
当院ではドイツ、シーメンス社製、MODULARIS Lithoを平成17年3月1日に導入しました。この機種は衝撃波を発生する原理にもっとも結石破砕効率が高いといわれている電磁変換方式を採用しており、同社の従来型に比べても実際の破砕力が約3倍にパワーアップしております。衝撃波のエネルギーの調節範囲も広く、さまざまな種類の結石を破砕することができます。また患者さまに接するヘッド部分が大きく、皮膚の痛みが抑えられています。
■ESWL治療の特徴
- おなかを切る必要がありません。
- 治療時間は1時間前後です。
- 治療中の痛みは軽度で、麻酔は不要です。 (痛み止めの注射を使用することがあります。)
- 副作用・後遺症がほとんどありません。
- 一泊入院もしくは外来で行うことができますので、 退院後はすぐに日常生活、職場への復帰が可能です。
- 高齢の方や、他に病気のある方(高血圧、糖尿病 など)でも安心して受けられます。
- 砕石不良の場合、繰り返して行うことができます。
- この治療は健康保険が適用されます。
■内視鏡による砕石手術(TUL/f-TUL)
膀胱や尿管の結石には内視鏡を尿道から挿入し、結石を直接カメラで確認しながらレーザーや超音波などで少しずつ砕石する手術があります。手術は全身麻酔もしくは腰椎麻酔(下半身の麻酔)で行いますが、短期間の入院での治療が可能です。尿管の下の方の位置に結石がある場合やESWLでは砕けない硬い結石の場合に内視鏡の手術を行います。
当院では金属製の硬性尿管鏡とスイス製のリトラクストという圧縮した空気のエネルギーで結石を砕く装置を使用して砕石術(TUL)を行っておりましたが、平成21年8月より胃カメラのような軟らかい軟性尿管鏡とホルミウムレーザーを導入し、より安全性の高い治療(f-TUL)が可能になりました。
![]() |
![]() |
| レーザーによる結石破砕 (f-TUL) |
軟性尿管鏡 |
■尿路結石の予防
尿のなかにふくまれているカルシウムやシュウ酸、リン酸、尿酸などがタンパク質などと結合し固まると結石ができてしまいます。では結石の予防はどうすればよいのでしょうか。
以下に、現在予防に効果があるといわれていることをシュウ酸結石を中心に列挙します。
1.2000mlを目標に水分を十分にとり、適度な運動をしましょう。
水分が十分でないと尿が濃くなり、結石ができやすくなります。水道水、ミネラルウォーター、番茶、麦茶、ほうじ茶などを中心に2000mlを目標に水分 を十分にとり、尿が透明に近い色になるのが理想です。ジュースなどの清涼飲料水、コーヒー、紅茶、緑茶、アルコールは控えましょう。結石にはビー ルがよいといわれていますが、ビールにはかなりのシュウ酸、尿酸が含まれていますので、再発予防には逆効果です。
2.夕食中心の食事をやめ、寝る前の4時間は食事を控えましょう。
寝ているときは尿量が少なくなり、尿中の結石の元となる成分(シュウ酸や尿酸)の濃度が濃くなり、結石ができやすくなります。夕食を遅い時間に たくさん取ると食事の成分が尿中へ排泄され、さらに結石ができやすくなります。
3.動物性タンパク質や砂糖、塩分の取りすぎに注意し、バランスのとれた食事を心がけましょう。
動物性タンパク質や脂肪は、尿中のシュウ酸や尿酸を増加させます。また、塩分、砂糖は尿中のカルシウムを増加させます。野菜や穀物を中心とし たバランスの取れた食事を取りましょう。
また、シュウ酸結石の方は、シュウ酸の多く含まれる食品と取りすぎないようにしましょう(ほうれん草、タケノコ、チョコレート、コーヒー、紅茶、等)。 シュウ酸を多く含む食品を食べる時にはカルシウムを同時に摂ると吸収が抑えられます。例えば、ほうれん草のおひたしには削り節をかけたり、コーヒ ーや紅茶にはミルクを入れたりして下さい。
4.カルシウムを十分に摂りましょう
昔は尿路結石の予防のためにカルシウムを制限していましたが、カルシウムが不足すると、シュウ酸の吸収、尿への排泄が増えて、逆に結石ができやすくなることが報告されています。もともと日本人はカルシウム不足気味ですので、普段よりカルシウムを多めに摂るようこころがけて下さいに




