医療関係者の方へ

臨床研修について

1.病院群形成による臨床研修の理念

1.病院における臨床研修の歴史的背景

中世ヨーロッパの各都市に設置されていた慈善収容施設ホスピタル(Hospital)が、18世紀になって医療機関へと変貌していったのは、幾度となくヨーロッパ全土を襲った疫病(ペスト、チフス、コレラ等)への対応であり、これに大きな貢献をしたのが、当時、大学で高等教育を受け医療指導者としての資格を与えられていたドクトール(Doctor)たちの医療奉仕活動であった。高名なドクトールたちがホスピタルにやってきて、無料報酬で最先端の医療を実践したために、それを見学しようと医療者を志す若者がホスピタルに集まるようになり、ここに、大学における"講義"とは異なる"臨床研修"という教育形式が生まれ、そして、Hospitalには「病院」という意味が、 Doctorには「医師」という意味が定着するようになった。

2.WHOによる病院の定義

病院の歴史を踏まえて、WHOは次のような定義を定めている。「病院は、社会・医療上の最も枢要な役割を果たすもので、その機能は地域住民に医療と予防を総合したcomplete health careを提供するものである。病院はまた、医療従事者を目指す人々の訓練を行い、併せてbiosocial reseachを推進する中央機関でもある」・・・
病院、医師(研修医を含めて)双方がこの認識を高めなければならない。

3.新しい臨床研修制度

厚生労働省は新しい臨床研修制度を制定するにあたり、「社会の複雑化・多様化を背景に、医師は患者とのコミュニケーションを大切にした全人的な診療を行うことができるよう、多様な診療分野と地域保健・医療の素養を身につけることが不可欠である」とした。

従来、医師の臨床研修の場が大学病院に大きく依存して、若手医師の専門医志向を招いてきたが、医療の社会的重要性、公共性からみて「臨床研修は適切な指導体制の下で、効果的に、プライマリ・ケアを中心に幅広い診療能力を身につけ、医師としての人格を涵養する研修であるべきである」と述べている。

4.研修病院群の結成と診療のモットー

臨床研修の歴史的背景への理解と、医師養成への使命感に関して共通の認識を有し、研修にふさわしい医療環境(病院の規模・設備、医療機器、患者数および臨床指導医の指導能力)が揃った四病院が、臨床研修制度の条件をクリアするために「研修病院群」を形成し、理想的な研修の実現を目指した。この病院群の名称を「大阪東研修病院群」と称す。
これらの病院の診療のモットーとするところは、"地域医療と高度医療の融合"である。

研修制度の根幹をなすプライマリ・ケアと、患者・家族・地域住民とのコミュニケーションは、"地域医療"に集約され、地域および受診療者から要求される、必要にして十分なレベルの医療の提供が"高度医療"である。 したがって、地域医療という言葉の中に低レベルの医療を容認する意味が込められていてはならないし、また、臨床研修制度が「プライマリ・ケア」を重視するといっても、臨床研修がプライマリ・ケア専門医の養成を目指したものではない。
これらを前提として、「大阪東研修病院群」は、診療のモットーである"地域医療と高度医療の融合"を、臨床研修の理念として掲げる。